「いやしと暖と趣」をそえた逸品
火鉢の素材として適しているものは、熱に強く、堅く変形しにくく、また木目の美しさが出る「けやき」「黒柿」「紫檀」等が多く使われています。これらの火鉢としての良質素材は、現在非常に入手が困難です。
骨董火鉢の良いところは、これらの素材を活かし、指物の技を使用した逸品がたくさんございます。
当社の骨董火鉢は、元来の本質を活かすよう、修理の必要なものは、職人により分解、手直し、表面は自然のままの仕上がりになるよう化学塗料は使用せず、天然のWAXで仕上げております。
炭の総合「増田屋」は、あらゆる炭と共に、火鉢を「いやしと暖と趣」をそえた品として、多数取り揃えております。この冬、皆で火鉢を囲んでみませんか?
火鉢の種類
火鉢の種類は、けやきや桐などの木製火鉢、銅や鉄など金属製の火鉢、陶磁器製の火鉢等、大きさも一人用の、手あぶり、小型のものから部屋全体を暖められる大型のものまであります。
形も種々で、角型、長方角型、丸型、卵型と、また名称も関東、 関西、大名、くり貫き、手あぶり等と呼ばれています。
関東長火鉢
角火鉢の右側に引き出しのある袖机を一体化した、直方体の火鉢です。
銅壺下部にも引出しがついた物もあり、この中に茶、湯のみ、ふきんなどの小物が入ります。また、袖机上に猫板と呼ばれている板が付いている物もあり、これがお盆の役目をします。
五徳上の鉄瓶、銅壺の中でのお燗。癒しと和の典型的な風情を醸し出す火鉢です。
関西長火鉢
長方形角火鉢の四辺に10cm前後の張が付いた火鉢です。
小物が入れられる引出しが付いた物もあります。
この張にお皿、湯のみ、お燗などの食器が置け、数人で軽食などがいただける、輪と団欒が楽しめる火鉢です。
黒柿 関東長火鉢
柿の木はひ弱で成長が遅く、数百年の古木であっても幹径は1mにもなれません。この数百年の受令を重ね古木になると、稀に心材に墨で書いたように黒い模様が入るものがあります。このようになった柿の木のことを黒柿と言います。
この模様や色はどれ一つとして同じものはなく、見る者の心を強く引き付ける魅力を持っています。
この模様が出るものは、柿の木1万本に1~2本と言われ、木の成分タンニンと土中の金属が影響して黒変するという説もありますが、はっきりとした科学的な根拠もなく、自然界の神秘と言われております。
黒柿の性質は、硬く、密度が高いため加工が難しく、また、黒い部分と白い部分での収縮率が異なるため、何年物自然乾燥の途中で割れてしまい、取り扱いの難しい木材です。
しかし、この黒柿、磨けば磨くほどに滑らかな木肌になり、美しい艶が出、完璧な紋様が出ます。
黒柿の美と言えば、神秘ともいえる見事な紋様の美しさのことでしょう。
黒色が主体の作品は、荘厳さと品格を持ち、茶色が主体となると、程よい上品さと親近感を思わせてくれます。
また黒柿は部屋の環境と調和し、品位を高め、静かな落ち着いた雰囲気を作り出します。
それ故、黒柿を素材として作られた火鉢は希少価値が高く、珍重されております。
手あぶり火鉢
1人または2~3人の少人数で、身近に置き暖をとる火鉢です。石油や電気の暖房機が使用される以前は、日常各部屋ごとに置かれていました。
瀬戸物・漆・木彫り・ラデンを施した木製物・銅を素材とした金物などがあります。時節外には灰を出して、瀬戸物はワインクーラーや金魚鉢に。木製塗り物でしたらオブジェとしても楽しめます。
その他の骨董火鉢
火鉢の素材としては、欅(ケヤキ)・桐・桑・杉など、また外国産には紫檀・黒檀・鉄刀山などを使用したもの、大名、角、くり貫き、蒔絵、色彩、大きさや形にもさまざまなものがあります。
火鉢の主目的は暖をとることですが、周りを囲み飲食しながら、和気あいあいの心温まる雰囲気を醸し出すことができるのも大きな魅力です。